設立の趣旨

 伝統的な日本文化が息づく京都の地では、仏教をはじめとする伝統ある宗教が、様々な形で、現代の市民生活に影響を与えています。京都の地で宗教が果たしている固有の役割と意義については、国内にとどまらず海外においても、多くの人びとに注目されています。また、宗教を専門的に学ぶことのできる大学が京都には多く存在しています。それゆえに、京都を中心に、宗教系の大学院および教育研究機関が包括的なネットワークを形成すると同時に、その学術ネットワークを世界に対しオープンにしていくことができるなら、国内外の学生および研究者に対し、大きな活力と希望を与えるに違いありません。これが「京都・宗教系大学院連合」設立を目指すゆえんです。

1.教育の連合体として

  本格的な宗教多元化が進行する世界の中で、リーダーとしての役割を果たしうる人材を輩出していくためには、自らが帰属する宗教的伝統だけでなく、他の宗派や宗教についても認識を深めることのできる教育プログラムが必要です。「京都・宗教系大学院連合」は、次世代の研究者・宗教指導者を養成するための総合的な教育インフラを作ることに貢献できるでしょう。仏教系の大学院生が、身近なところで、ユダヤ教・キリスト教・イスラームを学べるのは得難い経験になるはずです。また同様のことが、ユダヤ教・キリスト教・イスラームを専攻する学生たちが、仏教をはじめとする日本の伝統宗教を学ぶことに関しても言えるでしょう。
  具体的には、学生の学習インセンティブを高めるためにも、相互の単位認定制度を整えることが望ましいと思われます。「京都・宗教系大学院連合」の共通サーティフィケート(履修証明証)を発行し、それを加盟大学院がそれぞれで単位認定する、という形にすれば、各校における現行の教務システムを大きく修正することなく、単位認定制度を運用することができるでしょう。

2.研究の連合体として

  仏教系大学および大学院の間では、すでにいくつかの研究上の相互交流があります。そのような関係を基盤にしながら、さらに異なる宗派同士だけでなく、異なる宗教同士が、より広い研究上の知見に立って、それぞれの研究を深めていくことに「京都・宗教系大学院連合」の設立は寄与すると思われます。
  具体的には、学術情報の交換、国内外の研究者との人的交流、共同の講演会・シンポジウム等の開催などを考えることができます。

3.組織について

 「京都・宗教系大学院連合」を教育および研究の連合体として機能させるために、各校の代表から形成される評議会を設置し、また、運営上の実務を担う事務局を設置します。